アメリカのクリスマスは、キリスト教徒にとって1年で最も大切なイベントです。
12月25日は祝日なので、家族で集まってごちそうを食べてプレゼントを送ります。
イメージよりもアットホームな習慣で、日本のお正月に似た雰囲気かもしれません。
今回は、アメリカでのクリスマスの過ごし方と、色々な文化のイベントについてご紹介していきます。
1.アメリカのクリスマスの過ごし方
アメリカのクリスマスは、恋人よりも家族で集まるためのイベントです。
クリスマス前後はどんな過ごし方をするのか見ていきましょう。
1-1.12月が近づいたらクリスマスの準備
11月の感謝祭が終わったら、街はクリスマス商戦にガラっと切り替わります。
感謝祭の翌日の金曜日はブラックフライデーと呼ばれ、デパートやショッピングモール、オンラインストアで大きなセールが開催されます。
ブラックフライデーは様々な物が安くなるので、年末の休暇の前に生活用品をまとめ買いしたり、洋服などを買う人も多いです。時期的にクリスマスプレゼントをブラックフライデーのセールで買う人もいます。
現在はオンラインでもこの時期にセールを行っていますが、お店は大変な賑わいでとても楽しいですよ。
12月に入ったら、クリスマスツリーを飾ります。
街中もクリスマスイルミネーションが始まるので、大変華やかです。
1-2.クリスマスイブはディナー
家族や親戚、友人が集まってクリスマスディナーを楽しみます。
・ターキー(七面鳥)の丸焼きとクランベリーソース
・グレイズドハム(メープルシロップやはちみつなどで照りをつけた大きなハム)
・大きなリブロースト
・ミンスパイ(ドライフルーツやスパイスが詰まった小さなパイ)
・ジンジャーブレッド(生姜とスパイスがきいたクッキー)
・アップルサイダー(りんごを使ったドリンク)
・エッグノック(牛乳と卵を使った甘いドリンク)
などが定番のメニューですが、内容や味付けはその家によって変わります。
日本やヨーロッパのようにクリスマスにお決まりのケーキを食べる習慣はなく、ジンジャークッキーやパイ、ドーナツなどがよく食べられています。
ゆっくりご飯を食べながら、皆で会話を楽しんだり、映画やゲームをしたりして楽しい時間を過ごします。
この時にダサいセーターを着る文化もあり、「Ugly Christmas sweater」と検索するとユニークなデザインのセーターの数々が見られます。
1-3.教会でのミサ
クリスマスは、教会でミサが行われます。
24日の夜はごはんの後に家族揃ってミサに出かけるという人も多いです。
教会や宗派によってミサの内容は異なりますが、
・キャンドルサービス
・讃美歌を歌う
・牧師や司祭の話を聞く
などが一般的です。
教会によってはバンド演奏を行うことも。
また、ソウルフルな歌声が素晴らしいゴスペルイベントもアメリカ各地の教会で開催されます。
1-4.25日の朝にプレゼントを開ける
24日の夜は、子供たちはサンタクロースのためにクッキーとミルクをセットして眠りにつきます。
25日の朝はクリスマスツリーの下にプレゼントがたくさん置いてあるので、家族みんなで開けて楽しみます。
クリスマスプレゼントは子供だけでなく、大人も含めてパーティに集まる人全員に贈ります。
招待された側のプレゼント持参は強制ではありませんが、できれば用意した方がよいでしょう。
クリスマスプレゼントはとにかくたくさん集まるので、誰あてのプレゼントか分かるようにしておきましょう。
1-5.クリスマス後もデパートが混雑する理由は?
さて、無事に年末の大イベントのクリスマスが終わっても、デパートや商業施設は混雑が続きます。
その理由は「クリスマスプレゼントを返品するため」というから驚きです。
アメリカでは贈り物にギフトレシートを添えることが多く、金額は記載されず店名や返品条件が記載されています。
いらないプレゼントはギフトレシートと一緒にお店に持っていくと、返金あるいはギフトカードが渡されます。
1-6.独自の信仰スタイルのあるネイティブアメリカン
アメリカ先住民は、意外にもクリスチャンの割合が多いです。
北アメリカ大陸に入植したヨーロッパ系移民によって布教が行われ、現代に至るまでキリスト教を信じるネイティブアメリカンは少なくありません。
画像引用元:NATIVE AMERICAN NIGHT BEFORE CHRISTMAS | Native Voices Books
24日から25日にかけて、ネイティブアメリカンのお祭りが開催され、歌やダンスを楽しみます。
お祭りでは昔から伝わる歌や踊り、ネイティブアメリカン風にアレンジされた讃美歌などが披露されます。
また、クリスマスシーズンにはネイティブアメリカンの伝統的な装いや文化とクリスチャンの文化を織り交ぜたビーズ細工・木工・アートが職人によって作られ、インディアン博物館などで行われるクリスマスマーケットで販売され、人気を博しています。
もちろん、古くからその部族に伝わる土着の信仰を持つネイティブアメリカンも多くいます。
2.クリスマスは学校でイベントをすることも
小中学校だと、クリスマスに子供たちが劇や歌などの出し物をするイベントが開催されることも多いです。
歌はその時流行しているものや、定番の人気曲が多く、子供たちが各パートの楽器を練習してバンド形式で成果をお披露目することも。
これは公立学校や様々なルーツの子が集まる私立学校でよく見られます。色々な信仰を持つ子が集まるので、特定の宗教に内容を限定せず皆が楽しめる内容にするための工夫ですね。
クリスマス系の歌を歌う場合は、信仰についての内容にあまり触れていないポピュラーソングが選ばれることが多いです。
ミッション系の私立学校では、讃美歌を歌ったり、キリスト教にまつわるエピソードの劇を行うこともあります。
また、日頃のお礼を込めて保護者から学校の先生にちょっとしたクリスマスプレゼントを贈るのも一般的です。
3.クリスチャン以外の12月
アメリカでクリスマスが盛大にお祝いされるのは、国民の半数以上がクリスチャンだからです。
しかし、他民族・多文化の国でもあるアメリカでは、キリスト教以外の宗教を信じていたり、特定の信仰を持たない人も少なからずいます。
クリスチャン以外の人達は、クリスマスシーズンのアメリカでどう過ごしているのでしょうか?
アメリカの宗教については、こちらの記事でも詳しく解説しています。
アメリカの宗教は何が多い?多文化社会において気を付けたいこと
3-1.ユダヤ教徒はクリスマスに中華を食べる?
ユダヤ教徒はクリスマスを祝いません。12月には「ハヌカ」と呼ばれる大事な祭典が行われます。
開催時期はユダヤ暦の第9月から8日間行われ、ハヌキアという専用の燭台に細いろうそくを立てて毎日1本ずつ火を灯します。
ドレイドルというというコマで遊んだり、ジャガイモのパンケーキやスフガニア(中にジャムやクリームが入った揚げパン)などを食べます。
ハヌカが終わったユダヤ教徒はクリスマスは特に普段を変わらない平日です。
面白いのが、アメリカのユダヤ教徒はクリスマスに中華料理を食べることが多いようです。
120年ほど前から始まったとされるこの習慣は、
・ユダヤ系移民が多い地域に中華料理屋さんが多かった
・クリスマスでも店が開いている
・乳製品が料理にほとんど使われない(ユダヤ教は乳製品と肉を一緒に使ってはいけない)
といった理由で広まったとされます。
近年はデリバリーも盛んなので、ユダヤ人居住区の近くの中華料理店はクリスマスはかきいれ時なのだとか。
3-2.アフリカンアメリカンの行事 クワンザ
アフリカンアメリカンのコミュニティでは、ルーツのアフリカの文化を取り入れた「クワンザ」というお祝いが行われます。
1960年代に始まったクワンザは、毎年12月26日から1月1日に行われます。
アフリカの工芸品や美術、民族衣装などで家を飾り、キナラと呼ばれる燭台にミシュサバという緑・赤・黒のろうそくを立てます。
これはクワンザの7つの原則である「結束・自己決定・集団作業と共同責任・強調経済・目的・創造性・信仰」を意味しています。
アフリカ原産のゴマ・オクラ・サツマイモといった食材を使ったアフリカ料理を作ったり、ジャークチキンのようなカリビアン料理もよく食べられています。
クワンザは宗教的儀式というよりも、民族的イベントなので、クリスマスとクワンザ両方お祝いする家庭も多いです。
まとめ
アメリカのクリスマスは国全体を上げての一大イベントです。
カフェやスイーツショップ、スーパーには、クリスマス限定メニューやクリスマス用のごちそうが並びます。
しかし、この時期は他の宗教や文化のイベントが開催されることもあり、コミュニティやエリアによって全く異なる街の表情が楽しめます。
また、ご家庭によっては両親の信仰や文化が異なるので、家庭内で色々なお祝いをするというケースもあります。
クリスマスシーズンにアメリカ滞在する方は、色々なコミュニティのイベントに参加するのもよいでしょう。