アメリカの子育ては日本とどう違う??育児にまつわる違いを比較

アメリカの子育ては、根底の考えや社会的な仕組みの違いにより日本のそれとは大きく異なります。
どちらが良い・悪いとは言い切れず、もちろんどちらの国でもご家庭や地域による考えの違いもあります。
しかし、明文化されたルールなどを知っておかないとアメリカで暮らす時に、周囲から問題視されたり、警察沙汰に発展することもあるので、ある程度の基本は押さえておきましょう。

今回は、アメリカと日本の子育ての違いについて詳しくご紹介していきます。

1.アメリカでは自尊心と個性を育てる子育て方法が人気

アメリカでは自尊心と個性を育てる子育て方法が人気

アメリカの子育てで重視されるポイントとして、以下の3つが挙げられます。
・自尊心の形成
・自主性の促進
・個性の尊重

また、それを取り巻く環境も日本とは大きく異なるようです。

1-1.選択や管理は自分で行わせる

アメリカでは、自主性や積極性が重んじられます。
自分の意見をしっかり持つ・自分が進んで何かを選択するための力を養うために、小さい頃から子供が自分自身で選択を行うように教育するご家庭が多いようです。

普段着る服から、食べたいもの・習い事の内容まで、子供の意見をまず聞いてから選択する傾向があります。
子供のわがままを助長するようにも見えますが、「自分が選択した物事を責任を持って行う」というマインドを育てることを重視しているからこその選択だと言えます。

たとえ後で子供の意見が覆ったとしても、「it’s your choice.(あなたが決めたこと)」「you can do it .(あなたはできる)」と声をかけることが多いです。

1-2.成功は喜び、失敗から学ぶマインド

よく、「日本では経過が、アメリカでは結果が重視される」と言われることがあります。
「成功しなければ意味がない」と読み違えられることが多いですが、「失敗は必ずしも無意味ではない」と思っている人が多いのです。

特に両親や家族など近しい関係の人は結果的に失敗したり、望んでいた結果が得られなかったとしても、本人の努力を称えて「I’m proud of you(あなたを誇りに思う)」と本人を尊重する言葉を投げかけることも。

本人が間違った選択をしたり、道から外れた行為をした時には怒りますが、失敗した時はその理由や原因を分析して経験に学ぶという傾向が日本よりも強いでしょう。

1-3.子供にフレンドリーな人が多い

アメリカでは親戚や友人・知人でなくても、子供に対してフレンドリーな対応をする人が多いです。
もちろん日本でも子供に優しい人は大勢いますが、困っているなどの理由がない限り、知らない人同士だと直接声をかけたりすることは少ないですよね。

アメリカだと赤ちゃんや子供相手に気さくに挨拶する人が多く、子供が泣いていたとしても周囲の人が優しく対応してくれる割合が高いようです。

1-4.父親も育児に積極的に参加する傾向に

日本では「イクメン」として、育児に積極的に参加する父親を表すフレーズが一時流行しました。
もちろんご家庭の事情によって役割分担は異なるものの、これまで育児を日常的に担うのは母親であることが多い傾向にありました。

ところが、アメリカでは父親も子育てに参加する割合が多く、家事を行い、子供と寄り添う姿勢を重視する人も多くいます。

その理由としては、
・共働き率が高く、その歴史が長い
・自己犠牲の美学が日本よりも希薄
・効率や合理性を重視する人が多い
・都市部はジェンダーや社会的問題について高い意識を持つ人が多い
・社会制度的に母親が育児に専念しにくい
などが考えられます。

当然、アメリカでも保守的な考えを持つ人も多くいますし、信仰に基づいた子育てを行う人も多くいます。
社会制度の問題は深刻で、アメリカの育休制度は世界的に見ても遅れています。

男性の育休取得は国として明文化されておらず、州や企業ごとに仕組みが異なります。
女性も出産後12週間は雇用が安定されていますが、給与の支払いは保証されていません。
そのため、4人に1人の母親が経済的な理由で産後わずか2週間で職場復帰をせざるを得ない状況に面しています。

日本では「制度自体は整っていても取得が難しい」という問題がありますが、アメリカでも別の問題があるようです。

2.アメリカと日本 子育ての意識の違い

アメリカと日本 子育ての意識の違い

アメリカと日本では、子育てをする上でどのような意識の違いがあるのか見ていきましょう。

2-1.子供は自分の部屋で寝る

アメリカでは、赤ちゃんであってもベビーベッドを使って子供部屋で1人で寝ます。
生まれた直後は一緒の部屋で寝ることもあるようですが、生後数ヵ月経ったら親と子は別々の部屋で眠ります。

「3Bは30分以内に終わらせる」と指導する小児科医も多く、
・Brush teeth(歯磨き)
・Book(絵本)
・Bed(寝かせる)
という3つの行動をスムーズかつ、時間を決めて行うことで、生活リズムが整うと考えられています。

日本では幼児であっても1人で寝ることは少ないのではないでしょうか?
しかし、いずれにしても最初は1人寝のためのトレーニングは必要なようです。

2-2.まず子供の意見を聞く

先ほども触れましたが、アメリカでは自己主張や自分の意見をはっきりさせることがとても大切です。
アメリカでは学校でも会社でも、自分の意見がないことはネガティブな印象があるようです。

日本では沈黙も重要だという認識がありますが、アメリカではこの考えは通用することはないようです。
たとえ間違っていたとしても、まず言葉ありきで議論しながら意見をまとめたり、たくさんの意見を参考にします。

アメリカの中学校や高校では、必須カリキュラムの他に自分で学ぶ科目を選択する選択授業があります。
科目を選ぶ時、授業内で何かを発表する時なども自主的な行動が求められます。

2-3.児童労働に対する考え方の違い

日本では学校の掃除やおつかいなどは、普通の行動として疑問なく受け入れられています。
しかし、アメリカやヨーロッパではこれらは「児童労働」として虐待と捉えられる可能性が高いです。

特に12歳未満の子供を1人で買い物に行かせたり、家や車で待たせることも児童虐待として通報されかねません。
どちらが良い悪いというのは簡単には言えませんが、アメリカでは子供の行動や扱いについて日本よりも注意が必要です。

2-4.お金について小さい内から学ぶ

日本では子供が義務教育の内は、親が必要なお金を計算して自由に使える金額をお小遣いとして渡すことが多いです。
アメリカでは、金銭感覚やビジネス感覚を養うために子供にある程度の金額を渡して、日用品やお小遣いなどを自分で管理させるケースも多いです。

子供にお金の管理をさせることで、お小遣いを増やしたり、出費を抑えるにはどうしたらいいか?と知恵が養われます。
もちろん、遊びに使いすぎて必要なものが買えなくなってしまったという事もありますが、その場合は翌月から渡す金額を調整したり、お小遣いから毎月親に返済させたりという対策が取られます。

2-5.謙遜しない

日本では身内を自慢しない、謙遜が美徳という考えが強いです。
そのため褒められても否定することが多く、それが良い処世術として用いられます。

アメリカでは身内を謙遜する文化はなく、むしろ家族をけなす行為や言動は悪印象を残してしまいます。
もちろん過剰な自慢もNGですが、基本的には身内も積極的に褒めていきます。
例えば子供が褒められたら、「ありがとう、スポーツ(勉強、趣味などなんでも)も得意でね。」と返すのが普通です。

2-6.否定せずに子供の意見を尊重する

日本では、大人の意見に子供が従うという構図が一般的です。集団行動のなかで、1人だけ離れて遊んでいる子がいたら、どうにかして一緒に遊べるように誘ったり、仲間に入れてあげるよう促すでしょう。また、子供がいたずらをしたら、まず叱るということも多いでしょう。

対して、アメリカでは個の意見を大切にします。あまり否定をし過ぎず、本人の意思や考え、言動を尊重する傾向があります。周りと一緒に遊びたくない子がいたら、無理強いはしません。何か悪いことをしたら、まずはなぜそのような行動をしたのか、どう感じていたのかを聞いて、子供の気持ちに寄り添います。

もちろん、アメリカでは全く子供を叱らないというわけではありません。家庭内のルールはしっかりとあり、ルールを破ったときのペナルティを決めていることも。叱る場面ではしっかり叱ります。

子供をむやみに否定しない、叱る場面であっても自立性を尊重するところがアメリカ流といえるでしょう。

2-7.アクティビティが多い

日本でのアクティビティというと、学校の部活や習い事が一般的でしょう。中学・高校では、多くが3年間同じ部活で活動します。習い事も、毎週○曜日に参加するものがほとんどではないでしょうか。

対して、アメリカの部活はシーズン制が一般的です。シーズン制とは、季節ごとに異なる活動が用意されており、生徒はシーズンごとに違うアクティビティに参加するシステムです。また、日本よりも学校外でのアクティビティが活発で、夏休みにはサマーキャンプとして、アウトドアやボランティア活動に参加します。ボーイスカウト(スカウティングアメリカ)が活発なことも有名です。

日本よりもアメリカでは学校外、地域でのアクティビティが多く、参加のハードルも低いといえるでしょう。

3.アメリカの受験はラクは嘘!

アメリカの受験はラクは嘘!

よく、「アメリカに受験戦争はない」「受験はラク」と言われますが、決してそんなことはありません。

3-1.家庭事情や財力、課外活動も重要

アメリカと日本では、受験制度が大きく異なります。
日本では一般入試の場合試験結果が重視されるため、学習塾や家庭教師などに費用をかけます。
もちろん経済的に余裕のある家庭が有利ですが、本人の特性や努力次第で進路が決められる制度でもあります。

アメリカの受験では、試験の結果はひとつの要素です。
在学中の成績・課外活動(スポーツ・アート・科学・ボランティア)・講師からの推薦状・エッセイの作成など。
講師から好意的な推薦状を獲得するためには、成績の他にも普段から良好な関係を保つ必要があります。
また、ハーバードなどの名門校はOB・OGなど卒業生の子供の入学を優遇することもあり、実力主義と言われるアメリカでもコネが強いことが伺えます。

アメリカの大学受験については、こちらでも詳しくご紹介しています。

アメリカの大学に留学したい人必見!人気の大学から手続きまでまるっと解説

3-2.大学入学後も社交が大切

アメリカに留学したことがなくても、海外ドラマやハリウッド映画で「フラタニティ」「ソロリティ」という言葉を聞いたり、目にしたことがある人も多いでしょう。

「フラタニティ」「ソロリティ」は各大学にある学生組織で、フラニティは男子学生が、ソロリティは女子学生が所属します。
誰でも入ることができるわけではなく、組織側から招待しないと所属できません。

日本の大学でも広告サークルなどが企業と繋がりがあったり、学閥があったりしますが、フラタニティやソロリティはOB・OGまたは地域との繋がりがより強固な組織です。

そもそもの目的は、地域貢献や学生同士の友愛を育むこと。
しかし現在は、同大学の組織出身の人に推薦してもらって就活を有利にするなど、進路のためのコネを作るために利用している人が多いです。
フラニティ、またはソロリティに所属しても、ボランティア・パーティーの主催・地域貢献・教会へのイベント参加などで忙しいようです。

まとめ

アメリカの子育ては、日本よりも個人の選択を尊重することが多いことが分かりました。
日本ではどちらかというと協調性を重視する傾向が強いため、真逆に思える面も多いですよね。

アメリカと日本それぞれの子育てどちらがいいかは個人によって変わりますが、習慣やルールに違いがあることは知っておきましょう。

「アメリカ新生活・移住ブログ」
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吉田店長の写真

監修者
ハナセル店長 吉田

モベルコミュニケーションズ取締役
アメリカ携帯電話業界に20年携わる専門家

小学生の頃に日本を離れた後、海外の大学に進学。海外携帯電話会社に入社し、現在も海外生活を続ける。
2007年、一時帰国の度に感動する日本品質のサービスを米国在住者にお届けしたいという想いから、日本人のためのアメリカ携帯サービス「HanaCell(ハナセル)」を立ち上げる。
コラムでは、一般の方にもわかりやすいアメリカ携帯電話に関する情報や、バイリンガルを活かしたアメリカ生活情報の発信・監修を行っている。

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