一時帰国で日本の小学校に子どもを体験入学させるには?


普段海外で生活している子どもたちにとって、日本の生活を知ることができる日本の小学校体験入学は、自分自身のルーツに触れたり、視野を広める大変貴重な体験となるでしょう。

我が家では今年、イタリア国籍と日本国籍を持つ息子が日本の小学校に入学しました。
今すぐではありませんが、将来はイタリア在住となる予定もあり、その際に気になるのが一時帰国中の日本の小学校体験入学です。将来、海外在住となった時のことを見据え、子どもを体験入学させるための準備や申込み方法、必要となる学用品などをまとめました。

一時帰国SIM「ジャパンSIMカード」

一時帰国中の体験入学とは

体験入学とは海外在住の日本人児童が現地の小学校の長期休みなどを利用して一時帰国し、日本の学校に通い、その生活を体験することです。

ただし、今のところ日本の学校の体験入学は、法的な制度としては存在せず、主に各自治体や学校の好意によって行われているため、統一のルールがありません。そのため、手続きにもばらつきがあります。

いくつかの自治体を調べてみましたが、受入れの形も「住民票が不要で、学校に籍を置かない形で体験入学できるケース」から、「滞在先に転入届も出し、正式に編入学をした就学での受入れとなるケース」など、学校によってさまざまです。教員不足や日本語能力の不足など様々な理由で受入れてもらえない場合もあるようです。

体験入学を希望する方は、これらを念頭に置いて準備するとよいでしょう。

小学校の体験入学

一時帰国の体験入学の時期はいつ?
いつでも子どもを日本の学校に通わせられるのか。

ヨーロッパでは6月頃に現地校が夏休みに入る国が多いので、欧米在住者は6、7月から日本の学校が夏休みに入るまでの4週間、まとまった期間に体験入学をさせている家庭が多いです。

国によっては1~2月の冬休みに体験入学させる場合もあります。

体験入学というと、現地校が休みの時に行うイメージでしたが、日本語教育を意識されているご家庭では、現地校を休校させて数ヶ月など長期で日本の学校に通わせることもあるそうです。

体験入学が一番多い時期は、夏休みです。

体験入学の学校選び

実家の住所の学区にある小学校を調べて、実家の近くの公立小学校に通わせるというのがポピュラーかと思いますが、地域や学校によって受入れ条件が異なります。

1. 日本の住民票がなくても「体験入学」として受け入れてくれる学校
2. 【要転入】学区内在住(住民登録要)で、就学として受け入れてくれる学校

1のように一時帰国中、日本に住所がなくても、快く受け入れてくれる学校が多いような印象ですが、中には2のように、日本の区役所や市役所などで転入手続きをし、一時的に住民票を日本に戻す事が条件になっている学校もあります。

転入手続き自体は難しいものではありません。イタリア在住だった頃に3ヶ月ほどの一時帰国で転入届を出したことがあるのですが、手続きはすぐにでき、とても簡単でした。
ただし、転入手続きをすることで、それ以外の様々な権利や義務も発生します。児童手当の支給、国民健康保険、住民税、子どもの医療費が無料もしくは1回数百円、就学義務もあったりするのでその辺りを要検討でしょうか。

実家から通うことが決まっていれば、学区の学校の受入れ体制を調べるべし!

ユニークな体験入学にするヒント

もし「実家から通学」に拘らず、学校側も受け入れ体制があれば・・・

  • 夏であれば都会よりも少し涼しい日本の地方都市
  • 自然に多く親しめそうなエリアにある学校
  • 超少人数の学校
  • 雪に親しめそうな北海道での真冬の学校

など、考え方によってはユニークな体験入学もできますよね。
ただし実家以外からの通学は、体験入学中の生活基盤が必要になりますので、ホテルや長期利用のアパートメントなどの宿泊場所から通学になり、かなり出費が増えそうですが・・・

通わせたい学校を選んでユニークな入学体験もできる!

小学校の体験入学

体験入学にかかる費用

公立の授業料などは無償

◎給食費は実費負担(およそ1日200~300円程度×日数)

学用品を揃えるための出費
学校によって必要な学用品は異なります。気になる場合は申込み前に問い合わせましょう。

体験入学の申込み方法の調べ方

一時帰国前に自治体のホームページで申込書を取得して申込める市の学校もあれば、帰国後に転入してから就学としてお申込みするという学校もあります。
海外からインターネットで事前に調べておきましょう。

体験入学として申込みできる学校

●●市で体験入学したい場合、「●●市 一時帰国 体験入学」と検索すると、下記のような案内が市のウェブサイトに掲載されていることがあります。

1. 体験入学をご希望の方は、日本に帰国する2週間前までに、●●市教育委員会学校教育課に、ページ下部「お問い合わせフォーム」から、別添「体験入学事前申込書」を送付してください。(メールが使えない等の場合は、郵送や窓口での提出でも構いません。) ←体験入学が可能

2. 学校教育課から体験入学先小中学校へ受け入れの可否確認、日程の調整等を行います。

3. 結果について、申請者へご連絡します。

4. 準備等については、結果連絡後、体験入学先小中学校と直接打ち合わせを行ってください。

児童数が急増しているABC小学校については、体験入学に対応することが難しいため、下記に当てはまる児童のみ受け入れを行っております。

・現在海外に滞在しているが、第6学年までの間に、日本に帰国し、かつ、ABC小学校区に住民登録を行う予定である者。

上記に当てはまらない方については、ABC小学校での体験入学受入れはできかねますので、ご了承ください。

(※これはあくまで一例で、市や学校に寄って対応や条件は異なります)

このような場合は、●●市に住民票が無くても、体験入学が可能です。
ホームページから体験入学事前申込書をダウンロードし、メール、郵送、窓口で申込みをしましょう。

申し込み後、受入れ不可の可能性もゼロではありません。
他の学校を探すことも考えて、早めの準備を!

就学として申込む学校

一方、「●●区 一時帰国 体験入学」と検索した場合に、下記のような案内が区のウェブサイトに掲載されていることがあります。

【就学までの流れ】
1. 帰国の約2週間前までに滞在先の通学区域の学校に保護者が一報する。
2. 帰国後に、保護者は必要書類を持参の上、教育委員会へ就学の申請をし、就学の許可書を受け取る。((補足)申請を受け、教育委員会はその場で受入先学校へ連絡を取ります。受入要件を満たしており、そのほか特段の支障等がない場合は、許可書はその場でお渡しします。)
3. 保護者は、許可書を持参の上、学校で入学手続きをする。

因みに受入れの要件は以下の通り。

【受入れ要件】
1. ●●区に居住していること。←転入届を出す必要あり
2. 日本国籍を有しない場合は、日本語が理解でき、学校運営に支障がないこと。
3. 就学年齢であること。
4. 就学する学校の決まりを守ること。

このような場合は、転入届を出して、就学として申込む必要があります。

まずは一時帰国前に学校に連絡を入れ、仮申し込みします。
一時帰国してから●●区に転入届を提出し、その後、必要書類を揃えて正式に申し込みを行います。

この自治体の場合は、原則として転入し、その学区内で就学しないと学校に通えませんが、事前に調べて分かっていれば大丈夫!

学校や自治体のホームページに体験入学の情報が掲載されていない場合

電話などで問い合わせる!
ネット検索をしても情報が掲載されていない市や学校の場合、体験を希望する学校へ電話、手紙、メールなどで連絡してみましょう。

海外在住で一時帰国を利用して子どもに日本の小学校に体験入学をさせたいのですが、受入れていただけますでしょうか?

などと海外からSkypeなどのインターネットの有料通話などを使って日本に電話をかけるといいですよ。日本に問合せをしてくれる家族がいれば、時差のない日本の家族にお願いするとスムーズかもしれません。

その際に申込み方法や、いつまでに申込めばいいのか、必要な学校用品なども直接電話で確認しましょう。

前述の通り、体験入学は制度としては存在しないため、決まった統一のルールはありません。受入れ可否などのさまざまな判断は、各学校の校長先生に委ねられ、自治体や学校によって対応や流れが大きく異なります。

体験入学の申込みのタイミング

複数の自治体のサイトに「帰国の約2週間前までに学校に一報又は申込書を送付してください」とありましたので、学校に体験入学する意思を伝えて申込むのは、少なくとも帰国の2週間前までが妥当でしょう。

申し込み後に受入れ不可だった場合や、学校用品の準備を考えると、1カ月ほど時間が持てると安心!

一時帰国中の体験入学のために準備する学用品

必要な学用品も学校によって様々です。
学校によっては、体験入学でも他の生徒と同じように全てを買い揃えて欲しいという場合もあるそうです。
申込む前に、学校に必要な学用品を確認しておいたほういいでしょう。

申込みが済み、体験入学する学校が決まったら、本格的に学用品を準備しはじめましょう。

体操服、上履き、制服などは必要でしょうか?
教科書など、借りられるものはあるでしょうか?

体験入学の学用品

代表的な体験入学の学用品

何が必要かは学校によって様々ですが、代表的なものを紹介します。

  • ランドセル:学校によってはリュックなどでも代用可。安めのランドセルをネットで購入することもできます。中古が気にならなければ、かなり安いものもありそう→おそらく子どもは喜ぶ
  • 上履き+上履き入れ:手作りサイトなどでも販売あり
  • 体操服+体操服入れ:手作りサイトなどでも販売あり
  • 水筒:学校によってはみんな水筒を持ってきている
  • 紅白帽子:100円均一で購入可
  • ノート:連絡帳、こくご、さんすう、自由帳etc
  • 筆箱
  • 水泳帽や水着、タオルなどのプール道具:プールの時期限定
  • 教科書:短期間の体験入学であれば、貸し出しや先生の物をコピーで済む場合もある。また海外で無償で入手できる教科書をすでに持っている人は、体験入学予定の学校が使っているものと同じか事前確認
  • ピアニカ
  • 防災頭巾:最近は、背中にかけられるタイプも多い
日本の小学校は、揃えて持って行くものが多い!

海外在住者が、日本の教科書を無償で入手できるのをご存知ですか?

文部科学省では、海外に在住する義務教育学齢期の児童を対象に、大使館・領事館を通して日本の教科書を無償で配布しています。

海外在住の義務教育学齢期のお子様は、現地の日本大使館・領事館に申込むと教科書をもらえます。在留届が提出済みであることが必須となりますので、まだの方はお早めに!

期限に間に合わなかった場合、海外子女教育振興財団などでも受け付けているようです。

無償で入手できる教科書と、体験入学する学校の教科書が同じかどうか要チェック!

学校からの連絡のため、日本の携帯電話番号があると便利!

息子が日本の小学校に入学する際に、緊急連絡先として複数の連絡先を学校に登録しましたが、体験入学の場合も緊急連絡先は必ず聞かれると思います。

学校で子どもが体調が悪くなりお迎えが必要な時など、学校から電話がくることがあります。
また、息子が通っている日本の小学校からは、不審者情報や学校からの緊急のお知らせ(下校時刻変更)などのメールがちょこちょこ送られてきますので、携帯でメールもチェックできるようにしておくといいです。

海外の携帯番号を緊急連絡先に登録した場合、学校の方が国際電話に不慣れだと、2番目以降に登録した日本の電話番号(実家の固定電話や親の携帯電話など)に連絡が来ます。自分にダイレクトに繋がる日本の携帯電話番号があると安心です。

一時帰国中の連絡先として便利なのが、一時帰国SIM「ジャパンSIMカード」です。
日本にいる間、スマホのSIMをジャパンSIMカードに替えると、070、080、090のどれから始まる日本の普通の携帯電話番号を使うことができます。ソフトバンクの通信エリア内ならどこでも使え、通話だけでなく、データ通信やSMSも利用できます。一時帰国向けサービスということで、使った月しか料金がかかりません。翌年の体験入学でも同じSIMカードを使うことができます。

一時帰国SIM「ジャパンSIMカード」
体験入学中、学校から緊急連絡が来ることもあります。日本の連絡先は必須!

一時帰国中の体験入学で、子どもはどんな体験ができる?

日本の小学校に体験入学させることで、子どもにはどんな発見や驚きがあるのでしょうか。

海外育ちの子どもにとっていい刺激になる日本の学校だからできる体験
こんなことが体験できてよかった!という声を集めてみました。

給食当番

自分たちで配膳することが新鮮、給食が美味しい!という声が多いです。

アメリカと日本の給食の違いについては下記の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

アメリカの学校ではどんな給食が提供されているのか、アメリカの一般的なお弁当の中身、日本とアメリカの給食や食育の違い、日本のお弁当を子供に持たせていいのか?など、アメリカの学校給食とお弁当について解説します。

掃除する時間

海外の学校の場合、清掃の方が掃除をするケースが多く、生徒が教室を掃除するという機会はないので良い経験になります。

小学生

一人での徒歩での登下校

海外では車での送迎になることも多く、小さな子どもの一人歩きは考えられない国も多いため最初は親の方が心配かもしれません。

子ども同士で自由に遊ぶ体験

海外では一定の年齢まで子どもは一人で出歩けないことが多い中、「約束して友達同士で公園へ行って日が暮れるまで遊ぶ」「お友達の家に遊びに行って遊ぶ」という経験ができます。

部活活動

学校によっては小学校高学年から部活があるので、参加できる場合があります。
吹奏楽部、バドミントン部、バスケ部、サッカー部、野球部、剣道部、陸上部など

日本語の上達や異文化体験

日本語オンリーの環境に身を置くので、言葉の吸収や上達が期待できます。

歓迎される

体験談を読んでいると、みんなに歓迎される事がほとんどのようです。
海外に戻る前にメッセ―ジカードや写真をプレゼントして貰った子もいるようです。
こうなると子どもにとって日本の印象はよくなりますよね。

まとめ

準備段階では色々と心配、不安になることも多いと思いますが、学校に通い始めればきっとあっという間に時間は過ぎ、終わりころには次の年の体験入学が待ち遠しくなっているはず!!
お母さんは、子どもが日本の学校を楽しんでいる間、ぜひ少しでも一人時間を確保し、日本滞在をゆっくり楽しんでください♪

一時帰国SIM「ジャパンSIMカード」

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吉田店長の写真

監修者
ハナセル店長 吉田

モベルコミュニケーションズ取締役
アメリカ携帯電話業界に20年携わる専門家

小学生の頃に日本を離れた後、海外の大学に進学。海外携帯電話会社に入社し、現在も海外生活を続ける。
2007年、一時帰国の度に感動する日本品質のサービスを米国在住者にお届けしたいという想いから、日本人のためのアメリカ携帯サービス「HanaCell(ハナセル)」を立ち上げる。
コラムでは、一般の方にもわかりやすいアメリカ携帯電話に関する情報や、バイリンガルを活かしたアメリカ生活情報の発信・監修を行っている。

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