アメリカの予防接種 駐在員の子供や留学生が必要なワクチンは?

アメリカの予防接種

こんにちは!ハナセルです。今回はアメリカでの予防接種について紹介します。

海外赴任でお子さんと一緒にアメリカに移住する際や、アメリカに留学する際、すでにアメリカにお住いでもお子さんが就学される際などに、過去に接種したワクチンの証明が必要となります。

日米で異なるワクチンと共通するワクチンはどれか、渡米前に準備しておきたいこと、お子さんの義務教育に就学・転入する際に気をつけておきたいことなど、たっぷりまとめてご紹介します。

1. アメリカで子供が受ける予防接種について

まずはアメリカでのお子さんのワクチン接種について紹介します。

アメリカでは、医療機関や学校にて、アメリカのワクチンスケジュールに沿って接種していない子供に対してかなり細かいチェックが入ります。足りていないものが無いか、早すぎたり遅すぎたりしたワクチン接種は無いかなどです。

1-1. アメリカでは就学時にワクチン記録の提出が必要

アメリカでは、義務教育(キンダーからハイスクールまで)に入学する際はもちろん、義務教育ではないプリスクール、デイケアに入る際、さらには引っ越しで転入する際や、1年ごとに進級する際にも、主治医からのワクチン記録の書類やサインなどを提出する必要があります。

その書類に、一つでも受けていない予防接種があれば、入学前か、後日、受けるように連絡が来ます。かなりシビアな対応なので、9月に新学期が始まってから、親御さんはきちんと書類を期間内に出せるようにかなりピリピリして対応します。

インフルエンザの予防接種も同様で、毎年9月以降、小児科で接種し、証明書をもらい、学校に提出します。受けないでいると、学校から連絡が来ます。それを無視していると、学校へ通えなくなってしまいます。

1-2. 子供と一緒にアメリカへ引っ越す場合は

アメリカでは義務になっているけれど、日本では任意の扱いのワクチンも数多くあります。

お子さんと一緒に渡米される場合は、母子手帳とよく照らし合わせて、アメリカでのスケジュールと比べて何を受けていないのかを知っておくことが大切です。

1-2-1. 接種が必要なワクチンのリサーチ方法

日本で育ったお子さんや、色々な国で引っ越しをしながら育ったお子さんの場合、受けたことがないワクチンがある方も多いはずです。米国に渡航する際、駐在などで会社がリロケーションサービスなどを用意してくれている場合は、そこに質問してみるのが一番いいでしょう。

ご自身でリサーチをされる方は、まず住む予定の州の法律と、通う予定の学校やチャイルドケア、プレスクール、キンダーなどが定めている予防接種の種類について調べ、お子さんが受けていないものについては日本で受けてから渡米するのか、渡米してから現地で受けるのかを決めておく必要があります。後ほどアメリカの一般的な予防接種スケジュールも紹介しますので、そちらも参考になさってください。

1-2-2. アメリカでは主治医の設定が必要

渡米後はまずお子さんの主治医(小児科医)を決めましょう。学校などにワクチンなどの健康記録の提出をする際に主治医のサインが必要となります。アメリカでは初診の予約を取るまでに時間がかかる場合が多いので注意が必要です。可能であれば渡米前からお子さんの主治医についてもリサーチできるといいですね。

小児科医に会う時に英訳を添えて日本の母子手帳のコピーを用意して提出すれば、医師側も何が足りていないのかわかりやすく、スムーズに運ばせるために一役買ってくれるはずです。ここで受けたことがないワクチンがある場合や、既定の時期とずれて接種している場合なども、新たに接種して記録を残してもらう必要があります。

ちなみに、アメリカは医療費も医療保険もとても高いのですが、医療保険に入っていれば、アメリカが接種を義務としているワクチンはカバーされることがほとんどです。

アメリカの医療制度についてはこちらの記事でも紹介しています。

アメリカの医療制度は、日本の医療制度と全く異なります。当記事では、アメリカと日本の医療制度における違いや、医療費の相場、医療保険の重要性を解説します。アメリカでの医療のかかり方もまとめているため、アメリカ移住の予定がある人は必見です。

1-3. アメリカで生まれ育った子供の場合は

アメリカで生まれて育っているお子さんの場合、すでにアメリカの小児科にて、米国のワクチンスケジュールに沿って接種をしているはずですので、義務教育を開始する際や引っ越して他の州の学校に転校する場合もスムーズに行くかと思います。

しかし、もし何か受け忘れていたり、規定の時期より早すぎたり遅すぎたり、ずれて受けている場合も、学校からもう一度受け直すように、などの指導が入ります。保護者だけに連絡が来るのではなく、主治医へも連絡が入るので、主治医から保護者へ予防接種の予約を取りましょうと連絡が来る場合もあります。

1-3-1. アメリカで出産した方も日本の母子手帳がもらえます

ちなみに、アメリカで妊娠・出産されていて、お子さんが生まれてからまだ日本に帰っていない方も、在米日本領事館で日本の母子手帳をもらうことができます。

お子さんとともにこれから本帰国という方は、日本での医療機関では母子手帳が役に立ちます。お住いの州の管轄の領事館のホームページを見て、請求してくださいね。

また、厚生労働省のホームページでは母子手帳のPDFがダウンロードできるようになっており、自分でプリントアウトして使えるようになっています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/boshi-hoken/kenkou-04.html
これがあればかなり心強いですね。今までアメリカで受けたワクチンの記録を日本の母子手帳にも書き込んでおけば、日本帰国時の際にとても楽になります。

アメリカの子供の予防接種

2. アメリカの子供の予防接種スケジュール

続いて、アメリカで子どもが受けるワクチンの種類と接種時期を紹介します。米国小児科学会の2020年版の子供のワクチンスケジュールを参考に訳しました。

日本で生まれ育ったお子さんが渡米する際はもちろん、アメリカで生まれたお子さんが日本へ本帰国する際にも役に立つ一覧表です。

なお、ワクチン接種スケジュールは毎年更新されますので、最新版は米国小児科学会CDC(Centers for Disease Control and Prevention)などのウェブサイトをご確認ください。

アメリカの予防接種スケジュール(2020年版)

出生時
・HepB (B型肝炎)1回目
※日本ではハイリスクの職業(医療従事者)などにしか接種を行いませんが、アメリカでは全員に接種を行なっています。

出生から4週間~2ヶ月の間
・HepB (B型肝炎)2回目

生後2ヶ月
・DTap (ジフテリア・破傷風・百日咳)1回目
・Hib (インフルエンザ桿菌タイプB)1回目
・IPV (ポリオ)1回目
・Prevnar (PCV13 肺炎球菌感染症)1回目
・RV (ロタウィルス1回目)1回目

生後4ヶ月
・DTap (ジフテリア・破傷風・百日咳)2回目
・Hib (インフルエンザ桿菌タイプB 2回目)2回目
・IPV (ポリオ)2回目
・Prevnar (PCV13 肺炎球菌感染症)2回目
・RV (ロタウィルス)2回目

生後6ヶ月
・DTap (ジフテリア・破傷風・百日咳)3回目
・Hib (インフルエンザ桿菌タイプB)3回目
・Prevnar (PCV13 肺炎球菌感染症)3回目
・RV (ロタウィルス)3回目

生後6~18ヶ月の間
・HepB (B型肝炎)3回目
・IPV (ポリオ)3回目
・インフルエンザ 6ヶ月以上の初めての冬季に2回

生後12~15ヶ月の間
・Hib (インフルエンザ桿菌タイプB)4回目
・MMR(麻疹・おたふくかぜ・風疹)1回目
・VAR(みずぼうそう)1回目
・Prevnar (PCV13 肺炎球菌感染症)4回目

生後12~23ヶ月の間
・HepA(A型肝炎)1回目

生後15~18ヶ月の間
・DTap (ジフテリア・破傷風・百日咳)4回目

生後18ヶ月以降
・HepA(A型肝炎)1回目

4~6歳
・DTap (ジフテリア・破傷風・百日咳)5回目
・IPV (ポリオ 4回目)
・MMR(麻疹・おたふくかぜ・風疹)2回目
・VAR(みずぼうそう)2回目

9歳以降
・9vHPV(ヒトパピローマウィルスワクチン)
※男女ともに対象。日本では現在女子のみ対象

11~12歳
・MenACWY(髄膜炎菌感染症)1回目

16歳
・MenACWY(髄膜炎菌感染症)2回目

16~18歳
・MenB(B群髄膜炎菌感染症)1回目、2回目

2-1. アメリカと日本両方に共通の予防接種は?

日米共通する予防接種は、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、ヘモフィエウスインフルエンザ菌b型(Hib)、肺炎球菌、B型肝炎、水痘(みずぼうそう)、麻疹、風疹のワクチンです。

日本で定期の予防接種をすべて受けている方ならば、これらは全部受けていることになります。

なお、ヒトパピローマウィルスのワクチンは、日本では女子のみが定期接種の対象ですが、アメリカでは男女ともに対象です。

2-2. 日本のみで行われる予防接種は?

日本で行われていて、アメリカで行われていない予防接種は、BCGと日本脳炎の二つです。

これらはアメリカでは定期接種に含まれてはいませんが、受けたい方は医療機関や保険会社に問い合わせれば、実費で受けられる場合もあります。自腹でもいいので日本に帰国前にアメリカで受けたいという方は、渡航先で感染リスクがあると相談すれば、手配してもらえる可能性が高くなるかもしれません。

また、日本でBCGを受けておりツベルクリン反応が陽性と出る人は、米国の大学に進学する際などの健康診断にて、レントゲンや唾液、血液検査をさらに追加される場合があります。日本のBCG接種と米国留学手続きについて後ほども詳しく触れます。

2-3. アメリカで行われ、日本では任意の予防接種は?

アメリカでは定期接種(義務)に含まれているけれど、日本では任意接種となっているワクチンは、流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ)、ロタウィルス、インフルエンザ、A型肝炎、髄膜炎菌です。

また、ヒトパピローマウィルスのワクチンは、日本では女子のみが定期接種の対象ですが、アメリカでは男女ともに対象です。

今まで日本で暮らしてきたお子さんがアメリカで義務教育を受ける場合は、特にこれらのワクチンに注意してくださいね。

3. アメリカの大人の予防接種について

予防接種というと子供の頃に受けるイメージですが、大人になってからも意外と予防接種が必要になる場面があります。紹介していきましょう。

アメリカの大人の予防接種

3-1. 大学留学にも予防接種が必要

州や学校にもよりますが、アメリカの大学に留学する際も大抵の場合は予防接種が必要です。

母国でMMR(麻疹・おたふくかぜ・風疹の混合)やTdap(破傷風・ジフテリア・百日咳の混合)などを接種したことがあるかの証明が求められたり、抗体検査の結果を証明がわりにする大学もあります。抗体検査の結果、抗体の値が規定値よりも低かった場合は、該当する予防接種を受けて証明する必要があります。

一番いいのは日本にいる間に大学が必要とする予防接種の種類を確認し、日本の医療機関にて抗体検査や予防接種を全て終わらせてから、渡米することです。留学準備を始めたら、なるべく早い段階で大学に入る際に求められる健康診断についても準備を始めましょう。

数回接種しなければならないワクチンも複数あるため、準備期間内に全て接種できるのであれば日本でしてしまい、全てを日本で接種するのが無理ならば、残りはアメリカで接種することも可能かどうか、あらかじめ大学に問い合わせておくのがいいでしょう。

3-3-1. 日本のBCG接種と米国留学手続きについて

子供の予防接種のところで紹介しましたが、日本では定期接種に組み込まれているのにアメリカでは接種しないワクチンにBCGがあります。日本で幼少期にBCGを受けている場合、アメリカの大学の入学前健康診断のツベルクリン検査にて陽性になる場合があります。

この際、米国の大学側が「日本人はBCGを接種しているから陽性と出る場合が多い」とわかっていればいいのですが、そうでない場合は本当に結核にかかっているのかと心配されることがあります。

また、日本人の多くがアメリカの標準と比べて痩せ型であることもあり、痩せ気味の人は結核を患っていないかの検査を追加で受けさせられる場合もあります。結核の検査は、開放性ではない(人にうつさない)ことを証明するために、血液検査や胸部レントゲン、唾液検査などを行います。

3-2. インフルエンザワクチンは毎年受ける

アメリカでは9月の学校の新学年の開始時期、秋の始まりと同時に、薬局やスーパーでインフルエンザワクチンの接種が開始されます。地域によってはインフルエンザが流行りだしてきますので、義務教育年齢の子供たち、大学生、また社会人も早めに受け始めます。

スーパーや薬局の場合は予約なしでも大抵受けることができます。受ける際は保険証を忘れずに。保険が全額カバーしてくれます。

先述の通り、義務教育期間中の子供たちはインフルエンザワクチンをしなくては学校に通えない場合が多く、学校側から受けるように、また受けた証明を持ってくるように連絡が来ます。また、会社によってはインフルエンザワクチンを職場で受けられるように手配してくれる場合もあります。

インフルエンザワクチンの季節になると、アメリカは日本と比べて、スーパーや薬局で気軽に受けられる環境なのだなあ、と感じます。

3-3. 妊婦さんが受ける予防接種

女性は妊娠するたびに、Tdap(破傷風・ジフテリア・百日咳の混合)を受けます。こちらの受ける時期は、妊娠27週から36週の間となっています。

妊娠中にきちんと定期検診を受けていれば、産婦人科にて打ってもらえます。

アメリカでの妊娠・出産についてはこちらの記事でも紹介していますので、合わせてご覧ください。

4.アメリカコロナの予防接種に関する情報

これまでアメリカでの予防接種について、子どもの接種スケジュールや留学などで大人になってからも必要なものについてお話してきました。
加えて、やはり近年のアメリカで特に気になるのはコロナウイルスのワクチン接種についてではないでしょうか。

アメリカでは2022年8月現在、どの州でも国籍やビザのステータス、医療保険加入の有無を問わず、アメリカ在住であれば希望者は無料でコロナウイルスワクチンを接種できるようになっています。
既に日本同様3回目のブースター接種も広く行われており、アプリやホームページから簡単に予約が可能です。

接種開始時のような大規模会場でのドライブインや流れ作業での接種は減り、現在はかかりつけの病院はもちろん地域のドラッグストア、スーパーマーケットなどを主要な接種場所に置いています。
在庫さえあれば予約無しでの接種も受け付けており、より手軽な接種が可能になっていますね。

ワクチンを接種することでアメリカ疾病予防管理センター・CDCから証明書が発行されます。
アメリカで生活していく上で今後、様々な場面で必要になるかもしれませんので、大事に保管しておきましょう。

アメリカでのコロナ予防接種に関する情報はこちらの記事でも詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

日本とアメリカ、子供の予防注射のスケジュールにかなりの違いがありますね。また、アメリカではアメリカのスケジュールでワクチンを受けていないと、学校に通えなくなったり、大学にも入れなくなったりなど、集団生活を過ごす際にトラブルが起きてしまいます。

米国への転勤や留学などが決まったら、なるべく早くに準備をして、スムーズに現地の生活が開始できますように!

アメリカの医療制度アメリカの教育制度については以前の記事で紹介していますので、合わせてご覧ください。

アメリカの医療制度は、日本の医療制度と全く異なります。当記事では、アメリカと日本の医療制度における違いや、医療費の相場、医療保険の重要性を解説します。アメリカでの医療のかかり方もまとめているため、アメリカ移住の予定がある人は必見です。
アメリカの教育制度は日本と似ているようですが、細々とした部分は異なるので注意が必要です。全米の9割の子供が通うといわれる公立の学校を中心に、アメリカの教育制度や学校の種類を解説します。日本から移住する際に気をつけたい注意点もご紹介。

アメリカ携帯ハナセルが運営する「アメリカ新生活・移住ブログ」では、本記事のように、アメリカでの生活や旅行で困ったときの解決方法や、アメリカに行く前に知っておきたい知識など、アメリカで役立つ様々な情報を発信しています。

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吉田店長の写真

監修者
ハナセル店長 吉田

モベルコミュニケーションズ取締役
アメリカ携帯電話業界に20年携わる専門家

小学生の頃に日本を離れた後、海外の大学に進学。海外携帯電話会社に入社し、現在も海外生活を続ける。
2007年、一時帰国の度に感動する日本品質のサービスを米国在住者にお届けしたいという想いから、日本人のためのアメリカ携帯サービス「HanaCell(ハナセル)」を立ち上げる。
コラムでは、一般の方にもわかりやすいアメリカ携帯電話に関する情報や、バイリンガルを活かしたアメリカ生活情報の発信・監修を行っている。

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